胡桃設計からのお知らせです

「あなたが知らない家づくりの常識」を出版しました

 
家を建てたり買ったりする際に、欠陥住宅の被害に遭わないためには、何を知っておかなければいけないのでしょうか?業界の常識でも、消費者には知られていない話もたくさんあります。家を建てる際や、マンションや建売住宅だけでなく、中古住宅を購入する際にも知っておきたい話を、欠陥住宅調査の第一人者がお伝えします。

  出版社 :ギャラクシーブックス  価  格:1,375円+税
↓ amazonのオンデマンドでしか購入できません。
https://amzn.to/2QA2IiT

 

 

「いい家塾の家づくり」を出版しました

 
 「いい家づくりの教科書」に続き、後悔しない家造りネットワーク《いい家塾》では、「いい家塾の家づくり」を出版しました。いい家塾では、1年間前期、後期合わせて10回の講義を行い、消費者を対象として家造りの勉強をしています。住宅に関する問題提起→その解決方法→実際に建てられた家について、詳しく解説されています。胡桃設計で設計・監理させていただいた住宅も紹介されています。
 
  表紙改訂版発売:2017年11月 発売   出版社:JDC  価  格:1,600円+税
 

「いい家づくりの教科書」を出版しました

 代表の木津田が理事として参加している NPO後悔しない家造りネットワーク《いい家塾》で、「いい家づくりの教科書」を出版しました。いい家塾では、1年間10回の講義で消費者を対象として家造りの勉強をしています。その講義の中から重点的に講義内容を紹介しています。
  発売:2010年57月 発売    出版社 :主婦の友社    価  格:1,470円

「シックハウスがわかる」を共同執筆しました

 2003年7月に建築基準法が改正され、シックハウス対策が盛り込まれました。 しかしながら、対象となった化学物質は、ホルムアルデヒドとクロルピリフォスの2種類で厚生労働省の室内空気濃度指針値が提示されている13物質さえ規制されていません。シックハウス問題に取り組んで来た、各界の専門家が執筆して、基準法を一歩先行く室内環境を目指す多くの人のバイブルとなる本です。
  建築士会、建築士事務所協会、日本建築家協会の合同企画です。
  木津田建築士が第5章設計監理を執筆しています。
 実例も交えた内容で、多くの人に参考に使っていただけるように配慮しています。
  発売:2004年5月 発売    出版社 :学芸出版    価  格:2,000円

「マンションを手に入れる前に読むQ&A80」を共同執筆しました

胡桃設計の木津田も相談員として参加していたインターネットでの建築相談サイト「建築よろず相談」のメンバーで、家づくりをテーマにしたシリーズの第3段として、「我が家を手に入れる前に読むQ&A80」・「我が家をリフォームする前に読むQ&A80」の続編をつくりました。
 既にマンションはこの国の住まいのひとつの形態になっています。しかしながら、何に注意してマンションを選べば良いのかなど客観的な目でマンションについて書かれた本はあまりありません。
  第三者の目で建築士が冷静にマンションについてみた本です。
  発売:2004年5月 発売

「いい家づくりのQ&A100」を共同執筆しました

胡桃設計の木津田も相談員として参加していた「建築よろず相談」で本をつくりました。  これから家を建てようとしている方、家を買おうと考えている方  その前に、この本で勉強しましょう!
 
2009年12月 発売  出版社 :(株)エクスナレッジ 価  格:1,700円+税

監理業務のみを依頼されたい方へ

はじめに

 こんど家を建てるのだけれど、最近話題の「欠陥住宅」は恐いし、やはり誰かに工事を見てもらいたいのだけれど・・・と考えられて胡桃設計に連絡を下さる方が増えています。もちろん一生に一度の大きな買い物ですし、自分たちは専門家でもない、ローンも30年払わなきゃならない。欠陥などあっては困る。そんな状況では、業者とは別に自分たちが費用を支払ってでも建物を第三者に見てもらいたいと考えるのは当然だと思います。しかしながら「現場監理を頼む」ということはどのようなことなのかを今一度良く考えてもらいたいと思いこの文章を書きました。

既に選定されている工事監理者 1

 実のところ私に電話やメールを下さる時点で、ご本人が私とは別に「工事監理者」となる建築士を選んでいる場合が殆どです。建て売りの場合などでは、本人が選ばないまでも売り主によって「工事監理者」が既に決められています。その建築士は、建築士法による「図面通りに工事が行われているかを確認する」という監理業務を行うことになっているのです。それなのになぜ、胡桃設計に工事の監理をしてもらいたいとの連絡が来るのでしょうか?
 日本の建物は、いろいろな決まり事が建築基準法という法律によって定められています。ただし建築基準法はその第1条に「建物の最低の基準を定める法律である」と示されているとおり、最低の基準しか定めていません。基準法という名前から、何やらガイドラインなどのような印象を受けますが、実際には国民が憲法に保証された居住の権利を受けるための「最低の基準」を定めた法律なのです。
 そして建築基準法には、こう示されています。「まず建築主は設計を行いなさい、一定の規模以上なら資格を持った建築士に設計を頼みなさい。」当然住宅でも事務所ビルでも建築主がいます。建築主は建築設計の専門家ではありませんが、こんな間取りが欲しいとか、こんな外壁のビルにしたいとかという広義の意味での設計を行います。それらの建築主の意向をくみ取って建築士は設計を行います。
 設計を行うには設計契約が必要になります。設計契約は建築士法によって定められた契約です。でもハウスメーカーや工務店の設計施工の場合、設計契約を行うことはまずありません。でも設計はなぜか無料で頼みもしないのにどんどんやってくれます。彼らは早く工事本体の契約が取りたいので、設計料のような端金の為にいちいち契約などしないのです。この状態はすでに建築士法に違反しているのですが、そんなこと気にしている様子はありません。
 設計ができれば建築確認申請を行政に提出します。どんな建物をどこに建てるのかを、行政が「確認」するのですが、この申請に必要な図面はわずか数枚です。行政は違反した建物が建たないかを心配するのみで、システムキッチンの種類や、カウンターの天板の材種までは気にしていません。間取りや建物の高さ、窓の位置などが「最低の基準」を定めた法律に違反していないかを知ることができれば良いのです。そしてこの申請は、建築主が申請することになっています。建て売りではなく、注文建築の場合は建築主自身が申請を行うことになります。
 もう一つ行政が知っておきたいことがあります。それはこの建物を設計した人がどの建築士で、また建築主が「選んだ工事監理者」は誰なのかということです。そうです。建築確認申請の中に記載された「工事監理者」は、建築主が「選定」しなければならないのです。建築士は医者や弁護士と同様の職能を持っています。わざわざ行政が建物の検査に行くまでもなく、建築主が「選任」した建築士が工事監理を行えば、問題はおきないはずなのです。

既に選定されている工事監理者 2

 すなわち注文建築やハウスメーカーの建物の場合は、建築主が建築確認申請を行政に提出し、また建築主である本人が工事監理者を既に「選んでいる」のです。それは行政に提出する用紙に捺印されているだけでなく、「工事監理者の選定届け」という別の用紙に建築主が記名捺印して、建築士もこの建物の監理業務を引き受けることを明記し記名捺印を行うようになっています。しかしながら、これらのことは当人である建築主が知らないうちに行われていることが圧倒的に多いのです。
 土地や建物を購入する際には、沢山の書類に捺印をしなければいけませんから、建築確認申請書や工事監理者の選定届けなどに知らないうちに捺印している場合もありますし、悪質な業者の中には、建築主の印鑑を勝手につくって申請してくれるところさえあります。
 建て売りの場合は、建築主は販売業者ですから、彼らが「工事監理者」を選定しているはずです。実際のところ建て売りの場合には、建築確認申請を提出することだけが建築士の仕事として考えられており、「現場は見なくても良い=その報酬は払わない」という図式が一般的にありました。しかし販売業者も少し考えれば、自分たちが売る建物に問題が起こらないように、建築士に監理を依頼するべきなのですが、残念ながらその費用は支払われないことが多いようです。
 そこでこのような建て売りの建物を監理する建築士が不在になるわけですが、それを購入者が見つけてきてお願いするという事が、建築基準法が想定している建物を建てる仕組みから大きく逸脱していることは理解していただけたと思います。しかしながら、実際問題として誰も専門家が監理をしないという状態になるわけですから、一番その影響を受ける可能性のある購入者が費用を出しても建築士に見てもらいたいという気持ちは十分に理解できます。

監理を行う時の条件

 しかし監理とは「図面通りにできているか確認すること」ですから図面がなければ、監理を行うことはできません。また建築確認申請が提出されていなければ、その建物が合法な状態にあるのか、違法な状態にあるのかすら判断できないため、始めから検証しなければなりません。木造3階建てや一階がコンクリート造で2・3階が木造の建物、鉄骨造の建物ならば、構造計算によってその安全性を確認する必要があります。それらの構造計算が無ければ、構造計算から始めなければいけません。
 ですから私が「建物の監理だけをお願いしたい」と相談を受けたときには、「確認通知書(確認申請が行政により確認された後に通知される書類や図面)や図面がありますか?それらがあれば、可能かもしれませんので、一度図面等を全部持って事務所にお越しください」とお願いしています。比較対象する基準がない状態で、正しく施工されているかどうか見て欲しいということは無理な注文です。それを「図面や確認通知書はないが、そんなに厳密でなくても良いので、とにかく見て欲しい」とおっしゃる方も多いのですが、図面がないことや確認通知書がないこと自体が大きな問題で、その問題を安易に避けて業者に図面や確認通知書を要求されない方に対しては、監理業務はできませんとお断りしています。  実際問題として、そのような建物を対価をいただいて監理した場合に、万が一のことがあればその責任の一旦は私にもあることになります。建築基準法は先にも述べたように「最低の基準を定めた法律」です。その最低の基準を守らないことを容認した状況下では、残念ながらお断りをせざるを得ません。
 ですから、図面が整備されていない、確認通知書がないという物件に関しては監理をお引き受けできません。建築士の中には、そのような状態の建物でも工事中に見ていただける方がいらっしゃるように聞きますが、私は残念ながらそのようなリスクを背負う業務を行うことはできません。しかしながら、これを機会に業者と交渉し、図面を整備させまた建築確認申請を提出させ、建築基準法に則った建物を建築するのだという意志を持たれた方であれば、できる限りその交渉などについてもアドバイスや応援をしたいと考えています。

社会状況について

 ちなみに建築基準法では、建物が出来上がったときに、建築主が「工事完了届け」を行政に提出することになっています。行政は「完了届け」を受理した後に、完了検査を行い、合格した建物に「検査済証」を発行しています。この「検査済証」がなければ建物を使用することができないと建築基準法には明記されています。しかしながら98年度の実績において、大阪府全体では30%程度の建物にしか「検査済証」が交付されていません。建物を請け負った業者は裁判になって「完了届け」を出していないことを追求すると、「完了届け」を出すのは建築主だから、我々は知りませんでしたと抗弁する始末です。しかし建築確認申請という制度があることすら知らない依頼者に、「完了届け」についてだけ提出するように求めることは、それ自体に無理があることは理解して頂けると思います。現在の法体制では、「検査済証」がなくても銀行はローンを組みますし、法務局は登記を行います。電力会社やガス会社、水道局も供給を行います。したがって残念ながら「使用することができない」という法律を担保する制度がないのが現況です。
 しかしながら99年より、中間検査制度が導入され、行政によって中間検査を義務づける事ができるようになりました。大阪府の場合、いくつかの行政で導入されていますが、その実施率は90%近くになっています。すなわちこれまで「検査済証」を取得する建物が30%しかなかく、それ以外は申請と大きく異なる建物が建っていたと想定すると、中間検査時を90%の建物が受けていること自体で、確認通知書と全く異なる建物を建てているために検査が受けれないような建物は10%程度に減っていると考えることができます。そうするとこれまで「多すぎて処分できなかった」違法建築が「10%程度に減っているのなら処分できる」状況になってきていると行政は受けとめています。したがって中間検査制度が有効に働けば、著しい法律違反の建物は激減することが予想されます。私が交渉等で知っている複数の建て売り業者も、「しばらくは違法建築はつくれない」と言っています。(中間検査制度は3〜5年程度の導入の予定)そうすると新築で違反建築が少なくなれば、これまでに建っている違反建築の資産価値は著しく低くなることは、想定できると思います。

胡桃設計の監理費用について

 建物の工事監理だけを依頼される場合に、以上のような「建物を建てる仕組み」や「現在の社会状況」、「実際に監理を行う場合の状況」を理解していただいた上で、ご相談をお願いしたいと思います。実際には図面が整備され、施工者も監理を第三者が行うことを了解すれば、ポイント毎の確認だけで十分だと思います。状況にもよりますが、そのような確認業務は「工事チェック」と呼んで、木造2階建てなら現場に10回程度足を運んで報告書を作成して50万円程度、木造3階建てなら60万円程度を目安としてください。(費用の改訂を行ないました。図面が揃っていても施工に問題があり再確認などすることで実際には費用がかさんできています。基本的に施工会社がきちんと施工していることをポイント毎に確認する業務としては20万円程度で可能と考えていましたが、現実的には指導や指示を行なうことが発生しています。業務が増加したとしても後で精算するのは難しいと思いますので、今回費用の目安を改訂させていただきました。2001年2月12日)  現在建物の図面や確認通知書がないという場合は、まずそれらを業者に整備させるための交渉から始めなければなりません。その費用は相談料と同様に1時間1万円で精算するようになると思いますが、状況によって異なります。あくまでもこれらの費用は、私の事務所での指標ですので、他の事務所の方はそれぞれの考え方で業務を行っていますので、相談をしてみてください。

マンションの内覧会での立会を希望される方に

はじめに

 欠陥住宅問題や品確法の施工などによって、住宅の品質に関心が高まっています。その中でもマンションはある意味「建て売り」です。しかしながら契約時には工事中であることがほとんどであり、実際にできあがる建物について確認して契約を行える状態ではありません。また建物の施工の工程を購入者が見ることはできません。  初めて購入者が「購入の目的物」を目にするのは、内覧会が初めてということになります。そこで建築に関しては素人だから、だれかプロに一緒に見てもらいたいと考え、マンションの内覧会に立ち会って欲しいという相談を時々受けます。実際に数回立ち会いを行なっています。内覧会に建築の専門家として立ち会うことは可能ですが、「内覧会に立ち会って何が分かるか」という意味を良く理解していただきたいと思っています。

建物の一番大切な部分は

 マンションはおおよそ、鉄筋コンクリート造か、鉄骨鉄筋コンクリート造です。基礎は杭基礎かコンクリートのベタ基礎などでしょう。本当はマンションを購入される方は、このコンクリートの本体部分に注意を向けるべきで、内装はその次になるはずです。車を買うときにエンジンや安全対策について何も見ないで、内装の出来具合だけで選ぶ人はあまりいないと思います。
 いくら内装が綺麗でも、キッチンがきちんとつくられていても、コンクリートや鉄筋、鉄骨、基礎、防水工事が不良では何もなりません。しかしながら、内覧会での検査では、これらについては殆ど何も知ることができません。ですから内覧会の立ち会いは可能ですが、その場でできることは「内装のでき具合」「給水や排水に不良の兆候がないか」などに限られます。また屋上の防水なども、共有部分なので購入費用に含まれるのですが、そこまで見ることができることはまれです(あらかじめ申し入れをしてれば見せてもらえるでしょう。怪訝な顔をされますけど)。
 内覧会で唯一コンクリートの状態が見られるのは、ユニットバスの天井点検口からだけです。もしここからコンクリートを見て、ひどい問題があっても修復は非常に困難ですので販売者は応じないでしょうし、またそれを理由には解約できないか、非常に困難(違約金が高いなど)な契約になっています。  実際に内覧会で内装の施工状態がひどく、手直しも時間がかかった結果、引き渡しを拒絶したところ、契約違反で訴えられてたというケースでの相談も受けています。またひどい構造の問題があるマンションでも、何とか住むことができれば契約解除できないのではという見解も弁護士から聞いています。

もう少し詳しく

 立ち会いについて二つの方法があります。一つは購入する室内だけを見るケース。もう一つは、施工時の監理報告書や施工報告書を閲覧させてもらうことです。どんな建物でも(一戸建てでも)工事が図面通り、法律通りできているかを確認する「監理者」が選定されています。(行政に提出する書面で明らかにされています)ですから、その監理者に「この建物がどのように造られているのか」を報告してもらえばベストです。ただ間違っても「きちんと施工できていません」という報告は出てこないでしょうから、これらの書類を提出してもらって安心かどうかはまた別の問題です。ただ報告書も何もないのに、大丈夫だと考えるよりは随分ましな選択だと思います。
 少なくとも基礎部分(杭を含む)、コンクリート、鉄骨、鉄筋、防水に関する監理報告書は、見せてもらい、報告書はこれからできる管理組合で保管しておくべきです。
 マンションは、戸建て住宅と違って、共用部分である廊下や集会室、エレベータだけでなく、コンクリートや防水などの建物の主要構成部分も含めて全員で共有することになります。10年くらいすると、塗装のやり換えや防水の補修が発生します。その頃になってようやく自分たちが「共同」住宅に住んでいることに気がつくというのが現状です。

ご依頼にあたって

 このように内覧会の立ち会いは可能ですが、その後ろに隠れている事象が大きくありますので、その辺りも良く理解していただき依頼をお願いします。また仕上げのできについては、我々の方が許容レベルは低いです。すなわち、施工の限界を知っていますから、生活してからも生じるような傷や汚れはある程度は許容します。マンションの内覧会で立ち会っても、「この程度の傷は直す必要はありませんよ」ということも多々あります。単に内装の出来具合について立ち会ってもらいたいということであれば、「うるさい素人」になった方が、内容を相手が聞いてくれる限り良いかも知れません。その場合でも専門家としてどう見ますか?直す必要がありますか?と第三者の立場での見解を求められるのであれば、それなりに有用だと思います。ささいな傷も見逃さない為に専門家を呼ぶという考えであれば、ちょっと違います。
 費用は、拘束時間1時間当たり1万円(別途消費税)+交通費になります。拘束時間というのは、事務所を出て現場に到着して立ち会いを行ない、事務所に戻るまでの時間です。普通のマンションの場合立ち会い自体は1時間もかかりません。(先の報告書などを事前に用意してもらって見るのであれば、さらに時間がかかりますが)報告書は提出しませんし、写真も撮りません。もし写真付きの報告書が必要な場合(大きな問題点が発見された場合や、特に希望される場合)概ね2万円程度の報告書作成料が必要になります。
 他の建築設計事務所でも、内覧会の立ち会いを行なってくれるところがあると思います。費用もまちまちですし、どのようなスタンスで立ち会ってもらえるのかも含めて検討してみてください。