第14章  良い家をつくるための仕組み

 ここまで見てきたように、良い住宅をつくるには建築主が責任を持って「良い家をつくるための仕組み」をつくらなければいけません。

 できあいの建て売り住宅をよく検査せずに買ってしまい、いわゆる欠陥住宅を取得してしまうことは、売る方も悪質ですがそのような建物を安易に買ってしまう方にも問題の一端があります。

 また家をつくる人は、現場の監理体制や、問題が起きたときの対処の方法などを十分に考えておかなければいけません。施工業者から独立した専門家に検査などの現場監理を依頼しない場合は、建築主自らが現場をチェックするか、施工業者やハウスメーカーを信じる以外方法がないと思っておいてください。

 建築主が自分で現場を確認できるように、住宅金融公庫からもチェックシートなどが発行されています。しかし専門的な部分について、施工業者に「私たちは専門家ですから、図面どおり施工しなくてもいつもの通りやっていますから問題ありません」と十分納得できる説明もないままに工事を進められれば、それを信じるしかありません。

 このような状況を十分理解した上で、家の設計や建設を依頼するように心がけてください。

 私は何がなんでも、建築設計事務所が設計や現場監理を行わなければ良い家を建てることができないとは考えてはいません。

 しかし家を建てるときに、社会的にどのような検査態勢や仕組みが存在しているのかを知ることなしに、盲目的にハウスメーカーや工務店に依頼してしまう人が非常に多いのが残念なのです。中には建築設計事務所が行うのより厳密な検査や監理を行っているハウスメーカーや工務店もあります。

 しかし、この本で書いたような建築主と施工業者の間に立つ第三者としての建築設計事務所の役割についても広く一般の人にも知ってもらいたいと思っています。

 この本で取り上げた事例や内容は、一般的なものですので、それぞれの条件によって細かな内容が変わる場合があります。

 実際に家を建てるときには、建築主が中心となってうまく専門家を使う良い「仕組み」をつくってください。